2014年6月18日水曜日

森田のまちたんけん

昨年に引き続き、今年も当店にかわいらしい小さなお客様たちがやってきました。
森田小学校の2年生の子ども達です。
「森田のまちたんけん」ということで、当店を見学に来たのです。

何件かお店を選択するようで、うちには2回に分けて合計32名の子ども達がやってきました。

・お酒はどうやって造られるのですか?
・お店は何年前からやっているのですか?
・今いちばん売れているお酒はなんですか?

など、かわいらしい質問に2年生の子ども達にもわかりやすいように答えてあげました。

最後には、お酒の香りを利いてもらいました。
「うえ〜!」といって顔をそむける子、「いいにおい」といってじっと香りをかいでいる子、それぞれがいろいろな反応をしてくれてとっても楽しい時間を過ごせました。

お酒屋さんという大人の世界を、ちょっとだけ「たんけん」してもらいました。

2年生のみんなどうもありがとうね!




2014年5月14日水曜日

伝統が生む 類い希なる珍味。

発酵学の権威である小泉武夫さんは『この地球上で最も珍奇な食べ物は何か?』という質問をよく受けるそうですが、その時は迷わず「それは日本にある毒抜き発酵食品です。
石川県でつくられているフグの卵巣の糠漬けがそれです。世界広しといえども他に例を見ない驚くべきものであります。何せ、あの猛毒が詰まっているフグの卵巣を食べてしまう民族など、発酵の知恵者である日本人以外、見当たりません」。
と、答えるそうです。

ふぐの卵巣を伝統的製法で無毒化し、希なる美味へ。

石川県の特定地域に受け継がれてきた独自の製法でのみ作られる味です。

日本国内では石川県の白山(旧美川、金石、大野地区)以外ではふぐの卵巣を調理・販売することが許可されていません。
塩漬け、仮漬け、本漬けと合計三年間じっくりと漬込み、見事に毒が抜けた至上の珍味となるのです。
食べるまでに3年から4年もかかっているこのフグの卵巣の糠漬けは、まさに超スローフード。
「悠久の日本人」というようなおおらかさを感じずに入られません。

また、小泉武夫さんは、このフグの卵巣の糠漬けを『食の世界遺産』に認定しています。


ふぐの子の糠漬の美味しい食べ方
①糠や粕を手でしごくようにして丁寧に落とします。
 このときのポイントは「決して洗わない」ことです。
②子を1㎝間隔に輪切りにしてアルミホイルに包み、オーブンなどで1~2分間弱火で炙ります。
 炙りすぎると辛くなるのでご注意。
「ほんの少し」が良いですね。

一回にお召し上がりいただく量としては、一人分二~三切れ程度で充分でしょう。
その都度必要な分量だけ調理して、残りはラップに包んで冷蔵庫で保存してください。
お酒の肴だけでなく、ご飯にのせて、御茶漬け、焼きめし、パスタ等の具としてもお楽しみ頂けます。
ちなみに若おやじは茶漬けが大好きです。

ふぐの子の糠漬、食べてみたいなと思った方はこちら。

2014年4月21日月曜日

もやし?

日本酒造りで用いる麹は、蒸した米に麹カビを大量に生やしたもの(米麹)ですが、そのための麹カビを培養し、保存できるように乾燥させたものを「種麹(たねこうじ)」と言います。
麹を造るときに、これを文字通り「種(たね)」として蒸米に加えることからこの名があるのです。
酒造業界では「もやし」と呼ぶこともあります。

さてその種麹の製造工程はというと、精米ずわいが96〜98%程度の低精白米を浸漬して蒸した後、木灰を加えて30℃ほどに冷まします。この蒸米に黄麹カビの胞子を種付けして28〜35℃に保温した培養室で1
週間ほど培養し、米の表面に十分に胞子を着生させます。
これを乾燥させたものが種麹となるのです。

空気中には黄麹カビだけでなく、さまざまな微生物が浮遊していて、多いところでは1㎥あたり10万個もの微生物細胞があるといわれています。
したがって、蒸した米を放置しておけばカビは生えるのですが、それは黄麹カビばかりではなく、他のカビや腐敗菌、その他雑菌なども付着して繁殖するはずで、もちろんそんな麹を使っても良いお酒はできません。
では、良質の黄麹カビをできるだけ純粋に培養するにはどうしたらよいのでしょうか。そこで発明されたのが木灰を利用する方法だったのでした。

黄麹カビは木灰のアルカリ性に対して強い抵抗力を持つのですが、ほとんどの雑菌は抵抗力がなく死滅してしまいます。つまり、木灰は多くの雑菌の殺菌剤の役割を果たすわけなのです。しかも、木灰に含まれるカリウムやリンなどのミネラル成分は、黄麹カビにとっては格好の無機栄養源であり、著しく増殖を、手助けするだけではなく、胞子自体の耐久性も増すため、種麹としての保存性も向上するというのです。

種麹製造用の木灰は、ツバキ、ナラ、クヌギ、カシなどの堅木の葉を蒸し焼きにしたもので、昔からツバキの灰が最良といわれているそうです。

2014年4月19日土曜日

世界三大

世の中には世界三大と呼ばれるものがいくつもあります。

例えば、
「世界三大河川」アマゾン川、ナイル川、ミシシッピ川
「世界三大テノール」プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラス、ルチアーノ・パヴァロッティ
「世界三大恐竜博物館」ロイヤル・ティレル古生物学博物館(カナダ)、自貢恐竜博物館(中国)、我らが福井県立恐竜博物館
「世界三大がっかり」マーライオン、人魚姫の像、小便小僧。
などというものが、調べてみると数えきれないほどたくさん出てきます。

その中にあるのが、「世界三大ハム」。
「世界三大ハム」とはイタリアのプロシュット・ディ・パルマ、スペインのハモン・セラーノ、中国の金華ハム[金華火腿])のことをいうのです。

プロシュット・ディ・パルマは、別名「パルマハム」とも呼ばれていて、世界で最も有名な生ハムです。イタリアのパルマ近郊で作られているプロシュット(生ハム)で、DOP(保護指定原産地表示)の一つとなっており、産地保証による品質管理のため、この名称を使用する条件は厳しく運用されています。

餌にパルミジャーのチーズの乳清を与え、プロジェットにチーズの味と香りがほのかにするんです。しまも400日も熟成させられるのです。厳選された豚腿肉と塩だけを原料として、温度と湿度を管理された環境のもとに、400日にも及ぶ熟成をしたことにより、その
甘さと芳香が特長となるのです。

初めて食べた時受けた衝撃は今でも忘れることが出来ません。

これまで食べていたしょっぱいだけのコクのない生ハムは一体なんだったのか?
このパルマ産生ハムのコク、味の深みは今まで食べたことのない衝撃的なものでした。

本場の生ハムを食べたくなった方はこちら

2014年3月21日金曜日

日本人らしさ

日本酒は世界的に見てもまれな醸造方法によって造られます。それは「並行複醗酵」という醸造方法です。アルコールは糖分を醗酵させて造られます。

ワインなどはもともとと原料が糖分を持っていますので、そのまま酵母を添加すれば「アルコール発酵」が起こります。これを「単醗酵」といいます。

ビールはというと、原料は麦。麦はもともと糖分を持っていませんので、発芽をさせます。「麦芽」という言葉をお聞きになったことがあると思いますが、発芽をさせることによって糖分が生成されるのです。
この「糖化」という行程と「アルコール発酵」という行程を別々の場所で行うのでこれを「単行複醗酵」といいます。

さて日本酒ですが、これまた原料の米には糖分がありません。
この場合はどうなるのかというと、最初に述べたように、日本酒は「並行複醗酵」と言う方法で造られます。

「複発酵」というのは、「糖化」と「アルコール発酵」の二回の工程があるお酒です。
それに加え、「並行」とは何かと言うと、その「糖化」と「アルコール発酵」を同じタンクで同時にやってしまうということなんです。

アルコールを造る、「酵母」というものは「糖分」をえさにして生きています。

しかし糖分がたくさんあるときは「糖化」の作業を辞めてしまいます。
ということは、「単行」(糖化とアルコール発酵を別に行うこと)の工程だと1回目の「糖化」は自然と止まってしまうのです。そしてアルコール発酵とやってもせいぜい10度ぐらいのアルコール度数しか造ることが出来ないのです。
それに比べ、「並行」の発酵をさせると、「糖化」でできた「糖分」を「アルコール発酵」で消費します。そうするとそこで止まっていた「糖化」がまた始まるのです。
また「糖分」が増えると「アルコール発酵」が行われ、アルコールが増えるという連鎖ができるのです。

しかし酵母はアルコールの中では生きてはいけません。
アルコール度数が20度ぐらいまで上がると酵母は活動を停止しまうのです。
これを「完全発酵」と呼びます。
ということで、日本酒は醸造酒の中で世界アルコール度数の高いお酒なのです。

しかしその管理が難しい。
まさに高い醸造技術が必要なんです。
ここがまた日本人らしい。
さすが世界一の技術大国、日本。
その技術があってなせる「技」なんですね。

八重巻酒店のホームページはこちら

2014年3月20日木曜日

体もよろこぶ日本酒

日本酒のカロリーは高いと思われがちですが、実は日本酒には私たちの健康に関するおもしろい効果があるとされています。
例えば、コレステロールの話をしてみますと、皆さんもご存知のように、コレステロールの中には善玉と悪玉に2種類があるとされています。
善玉には組織や血管に溜まってしまったコレステロールを肝臓へと逆輸送することによって代謝処理してくれる効果があり、この効果を増大させるのが実は適量の飲酒だとされています。

さて、日本酒の中にはというと、悪玉よりも善玉の方が多く含まれています。善玉と悪玉について、総カロリー数が高くても善玉よりも悪玉の方が多ければ動脈硬化が進みにくくなるとされているため、日本酒の適量な摂取は我々の健康にとって、むしろいいものだと言えることができるかもしれません。

また、日本酒には制ガン効果もあると言われています。
疫学的研究によって証明されているように、日本酒にはガンの発生を軽減する効果があるのです。
その他にも人のガン細胞の上に日本酒の濃縮液を添加するという実験を行ったところ、ガン細胞の増殖が抑制されたという結果も出ています。
さらに日本酒には100種類以上もの微量成分があり、その中のいくつかがガン細胞の増殖を抑制する効果を生むとされています。

以上のようなことから、日本酒は高カロリーであるから肥満に繋がるということはできないのです。
日本酒そのものが肥満の原因になるのではなく、むしろ一緒に食べる食べ物で摂取されるカロリーに原因があるのです。
そのため、肥満を気にする人は日本酒を飲まないようにするというよりは、普段の食生活を見直してみるかお酒と一緒に食べている食べ物を見直してみるといいでしょう。

永谷園のCMより
また、最近何かと石川県出身の遠藤が話題になっていますが、日本酒を多く飲むお相撲さんは肌が綺麗だとも言われています。
この理由は、日本酒は他のお酒と比べて、飲むと、より長時間体温を2度ほど高く保つことができるためです。
皮膚の表面の血液循環がよくなるため、日本酒を飲んでいるお相撲さんはお肌がつるつるで綺麗なんだそうです。

でも、いくら体にいいからといって、飲み過ぎは禁物ですよ。

久しぶりにおいしい日本酒でも飲んでみようかと思ったあなたはこちら。

2014年2月11日火曜日

とうがらしでつくる発酵食品

新潟県妙高市新井地区には、『かんずり』という珍しい発酵トウガラシがあります。

秋に収穫した辛くて真っ赤なトウガラシを、厳しい寒さの冬に真っ白い雪の上にそれをちらして身を締める。これが新井地区の冬の風物詩となっています。
雪の上でしっかりと味がしまったトウガラシは、次に搗かれ、そこに米麹、塩、柚子が加えられじっくりと3年間発酵と熟成をさせられます。

日本のトウガラシである「鷹の爪」や「虎の尾」は本来非常に辛みが強いものでありますが、このように米麹で発酵させると、出来上がったものは刺すような辛みが抜けて丸みを帯びた辛さとなり大変マイルドなものとなるのです。その上、風味も一段と高まり、風格のある発酵トウガラシになるのです。

お漬物の上にかけたり、鍋料理に使ったり、味噌汁に入れたりと様々な料理に使われるものにと変身を遂げるのです。

発酵することにより、大変に神秘的な味や香りが加わり、そして保存も可能となります。発酵の底力を利用した『かんずり』。

日本中探しても『かんずり』のようにトウガラシそのもの発酵させ、風味付けしたものは他に例がありません。

東南アジアに行くと発酵トウガラシはありますが、『かんずり』のように日本古来の米麹を使い発酵させたものではありません。

『かんずり』は、まさに世界に誇る日本人の発想でと言えるでしょう。

(参考文献 小泉教授が選ぶ「食の世界遺産」日本編)